「衛生に対する基本的な知識」
衛生の知識とは、人々の健康を保ち、疾病や事故を予防するために、環境や作業方法を清潔・安全に管理するための知識です。
1. なぜ衛生管理が重要なのか?
生きるを衛ると書いて衛生です。
お客さまの体内に入る食材を提供するからこそ、飲食店を経営するうえで、お客さまを被害者にしない、従業員を加害者にしない、店舗の信頼を維持することは何よりも大切なことと言えます。
食中毒の防止:
厚生労働省の統計では、食中毒発生件数の約半数以上が飲食店に起因しており、最優先で防ぐべきリスクです。
法的な義務(HACCPの制度化):
2021年6月より、原則すべての飲食店に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が完全義務化されました。
店舗の信用維持:
SNSが普及した現代では、衛生トラブルが一件発生しただけでも瞬時に拡散し、営業停止処分や廃業に追い込まれるリスクがあります。
2. 飲食店が実践すべき「2つの管理」
飲食店のHACCPでは、以下の2軸で衛生管理計画を立てて実施・記録します。
HACCPは食中毒などの事件・事故を起こさないためにするべきことと、もし万が一食中毒などの事件・事故が起きてしまったときに、記録をつけておくことで、従業員を守ることの2つの目的があります。
① 一般衛生管理(基本の衛生)
すべてのメニューに共通する、調理環境を清潔に保つための土台です。
従業員の健康管理・手洗い:
出勤時の検温、下痢や嘔吐があるスタッフの調理禁止、20秒以上の徹底した手洗い。
施設の清掃・消毒:厨房、客席、トイレの定期的な清掃。
場所に応じた清掃道具の使い分け。
交差汚染の防止:
生の肉や魚を扱ったまな板・包丁を、そのまま加熱しない食材(サラダなど)に使い回さない。
② 重要管理(メニューに応じた管理)
食材の加熱・冷却プロセスにおいて、食中毒菌を「増やさない」「やっつける」ための中心温度や時間の管理です。
冷蔵品(グループ1):
適切な温度(10℃以下)で保管し、冷たいまま提供する。
加熱品(グループ2):
中心部までしっかり加熱して提供する(例:75℃で1分以上)。
加熱・冷却・再加熱品(グループ3):
スープやカレーなど、加熱後に冷却して保管、再度加熱して出すものは、菌が繁殖しやすい温度帯(20℃〜50℃)を素早く通過させる。
3. 食中毒予防の原則
飲食店が徹底すべき食中毒対策の基本原則です。
① 菌を付けない
こまめな手指消毒、調理器具の洗浄、食材の密封保管
② 菌を増やさない
冷蔵庫(10℃以下)、冷凍庫(-15℃以下)の適切な温度維持
③ 菌をやっつける
食材の中心部まで確実な加熱殺菌、器具の塩素・熱湯消毒
4. 運用で最も大切なこと
「衛生管理計画」は日々の実施結果を「毎日記録すること」が義務付けられています。
万が一トラブルが起きた際、適切な管理を行っていた証明(免責・原因究明の材料)になるため、店舗全体での習慣化が必要です


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